
※現在、tsu(スー)は、サービスを停止し、リンク切れになっています。
2014年10月に広告収入の9割をユーザーに還元する次世代型SNSサービス「tsū(スー)」が公開され、色々なブロガーがtsuを紹介する記事を書き、日本でも話題になっています。
これって本当なんでしょうか。
これまでFacebookやTwitterのSNS上で表示される広告の収入は運営会社のものでした。
tsuという新興SNSでは、広告で得た収益をtsu運営会社の取り分は10%、残り90%がユーザーに配分されるという大盤振る舞いなのです。
tsuいわく、「20億人がソーシャルなコンテンツを創作しているのに、ユーザーは一銭も得ていない」というお嘆きを公言し、tsuユーザーに対しては、「自分で構築したコンテンツ内に表示される広告で発生した売上の一部を」分配していくというのだ。
後発組のユニークな戦略と取るべきなのか。
胡散臭く聞こえてしまうのは私だけでしょうか。
1.tsuユーザーのネットワークはネズミ講か?
「tsu sns」キーワードでググってみて、下記のようなアドワーズ広告が出るほど注目度が増しているのは事実です。
クリック先はどんなLPかなと思いきや、tsuへの登録を促す個人ページの招待画面が出るだけのものでした(笑)
tsuはオープンSNSではなくかつてのmixiのような招待制なんですね。
Googleアドワーズ広告費をかけてまでtsuへ招待するメリットとは?
この招待制がtsuの根幹をなすもので、
- 自分が招待したユーザー(子ユーザー)
- 子ユーザーが招待したユーザー(孫ユーザー)
- 孫ユーザーが招待したユーザー(ひ孫ユーザー)
の売り上げの一部が自分の収入になるのです。
収益配分の仕組みをtsuのQ&Aに掲載されている図で確認します。
DAVID君が、1ドル稼いだ時の分配の比率です。
このままではピンとこないので、DAVID君が10,000円稼いだとします。
- tsu
1割:1,000円 - DAVID君
残り9割の1/2:4,500円 - DAVID君を招待したCHARLOTTEさん(子ユーザー)
残り9割の1/3:3,000円 - CHARLOTTEさんを招待したBRIAN坊や(孫ユーザー)
残り9割の1/9:1,000円 - BRIAN坊やを招待したALLISONちゃん(ひ孫ユーザー)
残り9割の1/27:333円
あなたは10,000円稼いだはずなのに、4,500円しか受け取れません。
広告収入の90%を常にユーザーのネットワーク(Family Tree)と配分するので自分の取り分は最高でも45%です。
しかし、ここで注目すべき点は、CHARLOTTEさん、BRIAN坊や、ALLISONちゃんは何もしていないのに収入を得ているということです。
多くの子ユーザーを抱えることで、不労所得が出来るんではないだろうかというネット詐欺師たちが喜びそうな仕組みです(笑)
この4段階あるtsuネットワークの恐るべき点は、各階層には複数のCHARLOTTE、BRIAN、ALLISONが存在し、連鎖的に収入を生み出す構図にあります。
マルチ商法というか、ネズミ講的SNSといわれる所以です。
2.tsuの招待制度の落とし穴
収益を上げるためには、面倒なコンテンツ作りなど止めて、自分が招待した人を増やせばいい。
こうした着目点から出発した発想は、脳内サーキットに一旦芽生えると止まることを知りません。
よからぬ知恵を燃料とし、詐欺師街道の標識に導かれ、邪な着想は思考の両輪となって火花を散らしながらあっという間に目的地に辿り着いてしまう。
先ほどのPPCアドワーズ広告然り、tsuのタイムライン上にひしめく情報商材、アフィリエイト、高額塾の投稿然り。
招待制度に話を戻しましょう。
有名人でもない見知らぬ一般人からの招待を受け付けてもらえるのかという疑問が生じます。
純粋に招待できるのは知人までが限界で、「こちらから登録してくださいね」的なものではtsuの搾取ネットワークには組み込めません。
しかも子ユーザーとなったお友だちとの間にはぎくしゃくした関係が生まれそうです。
ついでに、有名人つながりで言うならばネットビジネス有名人ならいざ知らず、人気商売の芸能人や著名人がネズミ講の異名をとったtsuに参加するでしょうか。
Facebook、Twitter、Instagram、Google+といった既存のSNSが現在のような億単位のユーザーを抱えるまでに発展してきたのは、
テレビで見かける有名人が参加していることに原因の1つがあるわけです。
Google+など48グループの巣窟ですからね!!
フォローもしていないのに、私のタイムラインではいつも笑顔の彼女たちが迎えてくれます (笑)
〇〇ちゃんの子ユーザーになりた~い的なヲタはいるにしても、ネズミ講システムが噂されるSNSに参加する有名人はいないでしょう。
認知度アップの一役を担ってくれるはずの有名人からは総スカンされ、ネットビジネス業界で暗躍するイカサマ詐欺師たちの
格好の活躍の場になりそうな予感が濃厚で、tsuの将来は暗雲たるものです。
3.獲得した報酬の支払いは?
このレビューの段階では出金方法は小切手払いのみとなっています。
「100ドルに達するとユーザーは、自分の稼いだ収入の小切手を受け取ることができます。」とGoogle Chromeが訳してくれました。
アメリカ以外のユーザーへの支払いは考慮されていないようです(苦笑)
Bankをクリックすると収益グラフが出ますが、せめてpaypalを使えるようにしてもらわないといくらtsu内で稼いでも還元できないということです。
広告費を90%も放出してしまい、今後投資していくシステム開発の原資も含めた資金調達とか大丈夫なんでしょうか。
4.tsuは本当に流行るのか?
tsuログイン画面
https://www.tsu.co/
いざログイン。
先ずは、ネットビジネス界で有名な方々の日本人フォロワーを片っ端から「Follow」申請させて頂きました。
「Add Friend(フレンド申請)」には1日50人の制限がありその他は次のようなルールになっています。
- 1日の投稿数:36回
- 1日のシェア数:8回
- 1日のLike数:1,000回
- フレンドの申請期間=3日間
- フレンド申請上限数:申請保留50人
- フレンド数:最大5,000人
- フォロー数:最大1,000人
機能はFacebookと全く同じなので、英語が分からなくてもよく見るLike 、Comment、 Shareといった単語ばかりですので、なにも悩む必要はありません。
Feedに流れてきた記事には、Facebookと同じような個人の日記的投稿に混じってアフィリエイト、情報商材、YouTuber、自己啓発セミナー的な投稿が散見されます。
思ったほどネットビジネス業界には侵されていませんでしたが、Facebookではまず見ない投稿が多いです。
登録から1日経過しました。
友達とフォロワー数は上図の通りで、ページ上段には0.03ドルの金額が表示されています。
1日で0.03ドルということはtsuのメンバーは100万人を超えたと聞きますので、
0.03×1,000,000×30.5=915,000万ドル
現時点でも月1億円の支払いがメンバーに発生しますが、資金調達の謎は深まるばかりです。
せっかくアカウントを作りましたので、実害もありませんし、このまま投稿を続けしばらく動向を見ていきたいと思います。
5.tsuサービス開始2ヶ月目以降ユーザ増が頭打ち
(2015年3月2日追記)
下記のグラフを見てください。
Webサイトのアクセス状況がわかるツール「SimilarWeb(シミラーウェブ)」を使った最近のtsuのアクセス状況を示すグラフです。
サービス開始2ヶ月目以降からアクセスは横ばい状態です。たったの2ヶ月で頭打ちの模様です。
月間1540万のユーザーがいて、日本人構成は6.94%ですので、およそ100万人のユーザーがいることになりますが、子、孫、ひ孫制度に絡め取られたユーザーも多数いそうな気がしますので、今後のtsuがどれほどの効果が期待できるかは、はなはだ疑問になります。